日本政府によるUNIDOプロジェクト10件への729万米ドルの資金援助
2021.04.27
国連工業開発機関(UNIDO)と日本政府は2021年4月19日、アフガニスタン、エリトリア、ガボン、ガーナ、イラン、イラク、マダガスカル、パレスチナ、タンザニア、イエメンにおける、新たなUNIDOのプロジェクト10件に対する総額約729万米ドルの資金援助を決定しました。李勇UNIDO事務局長と引原毅在ウィーン日本政府国際機関代表部大使がウィーンにてキックオフ・セレモニーを開催し、支援対象国の代表者などがオンラインで出席しました。
李事務局長は、「深刻で長期的なパンデミックの影響を和らげるため、賢明かつ持続可能な復興をすぐに始めなければならない」「昨年から学んだ教訓を生かし、雇用創出強化、デジタル化活用、ジェンダー平等促進、不平等や気候変動の問題に取り組んでいかなければならない」と述べました。また、パンデミックによる公衆衛生課題と社会経済的影響に対する日本政府の早期対応に感謝の意を表明しました。
引原毅大使は今回のプロジェクトについて、「未曾有の新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより引き起こされた人間の安全保障危機を乗り越え、より良い復興を目指す国々をサポートする」と述べました。さらに、「本プロジェクトを通じてドナー国、受益国・地域及び民間セクターをつなぐプラットフォームとして、UNIDOの役割に期待が高まっている」とも述べました。
アフガニスタンでは起業スキル、社会的結束、女性のエンパワーメント、新型コロナウイルス感染症に関する職場の衛生管理といった複数の能力開発プログラムを組み合わせることで、スキル向上や就労機会の獲得、起業支援をサポートします。エリトリアではアスマラ市の産業支援開発センターの活性化がプロジェクトの柱となり、産業人材育成につながる皮革産業の組織的な支援システムが確立されます。
イラクではプロジェクトを通じて、ニネベ県の難民キャンプに住むホストコミュニティや国内避難民と協力し、持続可能な経済と生計の機会を提供します。イエメンでは生計改善、レジリエンスの向上、国の安定化に貢献する技術やソフトスキルトレーニングの提供を通じて、脆弱な人々へを支援します。
イランでは能力開発とスキル向上の取り組みを通じて、手工芸産業を支援します。同時にシスタン州とバルチェスタン州における新型コロナウイルス感染症に対するレジリエンスを強化し、市場アクセスと持続可能な雇用機会の創出を促進します。パレスチナ州ではプロジェクトを通じて、衣料品をはじめとしたファッション業界の市場競争力を強化します。「新たなガザ–クリエイティブファッションデザインハブ」は、デザイナーや起業家がプロジェクトを開始し、新たなファッションの形を通してアイデアを後押しするプラットフォームを提供します。両プロジェクトとも、女性と若者の参加と雇用の増加に重点を置いています。
ガボンとタンザニアでは、生産量、品質、ビジネスレジリエンスの観点から、国内の生産者や供給者、公的機関に対する支援を通じた個人防護具(PPE)生産強化を目的としています。同様にガーナではニーズのある個人防護具の供給能力向上に向け、量と質の両面からの支援を行います。マダガスカルでは環境に配慮した医療廃棄物管理のための行動計画策定支援を通じて、新型コロナウイルス感染症の課題に取り組みます。本事業では、ウイルス拡散防止のための最終処分処理に関連した日本の技術の実証も行います。