UNIDOエネルギー部事業(LCETプログラム):モロッコ - アウェアネス・ビルディング研修の実施
2018.04.24
2018年4月2日(月)~5日(木)の4日間、東京及び国内各地(北海道、神奈川、奈良、大阪)にて、UNIDO本部エネルギー部気候変動ネットワークユニットが実施している「低炭素・低排出クリーンエネルギー技術移転プログラム(Low Carbon Low Emission Clean Energy Technology Transfer Programme:LCETプログラム)」の一環でアウェアネス・ビルディング研修が実施され、モロッコ王国(以下、「モロッコ」)政府と現地企業の関係者が来日し、講義の受講や現地視察等を実施しました。
UNIDOはモロッコにおいて、住友電気工業株式会社がモロッコ中部都市ワルザザードで竣工した1MW 集光型太陽光発電システム実証事業サイトに同社のレドックスフロー蓄電池を設置し、実証調査事業を行います。
2016年11月、モロッコのマラケシュで開催された国連気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)において、リー・ヨンUNIDO事務局長とムスタファ・バッコーリーモロッコ王国持続可能エネルギー庁(MASEN)長官により、ジョイントコミュニケ(共同声明)が発表されました。本事業は、当該声明に基づいて実施された初の共同事業になります。
UNIDOとMASENは、モロッコにおける再生可能エネルギー分野での技術協力関係を強化し、モロッコの国家的優先課題(2030年までに再生可能エネルギーによる発電量を総電力量の52%まで引き上げる)の実現促進を目指すものであります。
今回、モロッコ政府(エネルギー・鉱山・持続可能な開発省及び外務協力省)と現地企業(MASEN及び国営電力・水道公社(ONEE))の代表者が来日し、研修を通じて、住友電気工業株式会社のレドックスフロー電池技術を含む再生可能エネルギーソリューション等が紹介されました。
■LCETプログラムとは
日本の低炭素・低排出のクリーンエネルギーを用いた技術、製品、サービス、システム(Low Carbon Low Emission Technologies: LCET)の発展途上国への普及促進を目的とし、生産性向上、新規雇用の創出、クリーンで入手しやすいエネルギーの利用促進、さらに現地コミュニティに対する研修等に取り組むことによって、「包摂的かつ持続可能な産業開発(ISID)」を促進することを目的としている。
■レドックスフロー電池とは
バナジウム等のイオンの酸化還元反応を利用して充放電を行う蓄電池で、電極や電解液の劣化がほとんどなく長寿命であり、発火性の材料を用いていないことから安全性が高いなど、電力系統用蓄電池に適した特性を持っているため、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入を拡大していく上で必要となる系統の安定化技術として期待されている。
■視察内容
・住友電気工業株式会社・横浜製作所(神奈川):
集光型太陽光発電システム、レドックスフロー電池、EMS(エネルギーマネジメントシステム)
・北海道電力株式会社・南早来変電所(北海道):
北海道電力株式会社と住友電気工業株式会社の共同実証事業により設置された世界最大級(2018年4月4日現在)の蓄電池設備
・横浜市港湾局(神奈川):
自立型水素燃料電池システム(H2One)、燃料電池自動車(FCV)等
・大和ハウス工業株式会社・奈良工場(奈良):
FEMS(工場エネルギー管理システム)を活用した環境配慮型工場「D’s SMART FACTORY(ディーズスマート ファクトリー)」等
・華厳宗大本山東大寺(奈良):
ユネスコ世界遺産に登録されている東大寺建築物等