[UNIDO本部] オンラインセミナー「COVID-19後の世界における生産ネットワークの未来」を開催しました
2020.07.27
UNIDO本部は2020年6月30日(火)、キール世界経済研究所とキールグローバリゼーションセンターと共に、オンラインセミナー「COVID-19後の世界における生産ネットワークの未来」を開催しました。UNIDO本部によるオンラインセミナーシリーズ「パンデミック後の世界における工業化の未来」の第一弾で、世界80カ国以上から300人以上が参加しました。
冒頭ではパンデミックの影響について、UNIDO本部の国吉事務次長は「即時的かつ普遍的であり、人々、企業、経済全体が対応に苦慮している」と説明。加盟国やパートナーとの緊密な連携を強化し、「同じ目的意識とスピードで対応しなければならない」と語りました。キール世界経済研究所のガブリエル・フェルバーマイヤー所長は「世界的な生産ネットワークに不可欠な国家間の信頼が低下している」と指摘し、「この危機は世界の分業の構造やパターンを変え、生産ネットワークに影響を与える可能性が高い」と述べました。
パネルディスカッションでは、パンデミックが「グローバリゼーション」の終焉をもたらすのか、という議題に対し、欧州復興開発銀行のチーフ・エコノミストであるベアタ・ヤヴォルチク氏は「世界が保護主義に陥る危険性があり、自由貿易に対する国際的なコミットメントが必要」と強調。また、第四次産業革命に与える影響として、アクセンチュア・リサーチのマネージング・ディレクターであるスベンヤ・フォルク氏は、サプライチェーンの継続的な多様化などを挙げました。
一方、JICA緒方研究所の大野泉所長は過去の教訓を踏まえ、COVID-19後の生産ネットワークへの開発途上国の参加について、「ウイルスと共存する方法を見つけなければならない。世界的な生産ネットワークの回復力を高めることが喫緊の課題」と指摘。ケンブリッジ大学開発研究センターのチャン・ハジュン所長は「開発途上国は、外国直接投資の管理にもっと積極的になる必要がある。戦略的セクター、ターゲット企業を特定し、インフラ構築におけるセクター別のニーズを考慮しなければならない」などと述べました。
パンデミックによって将来の見通しが不透明になっている一方で、パネリストたちは、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に向けて力を合わせ、長期的かつ包摂的で持続可能な成果を目指した政策行動を取るチャンスでもあると確認し合いました。
セッションの様子は、UNIDOのYouTubeチャンネルでご覧ください。