青空が広がった、金曜日の午後。車内が熱気に溢れるバスが向かった先は、築地。今回の目的地は、観光名所でもある築地市場ではなく、その向かい側に立つビル、朝日新聞本社でした。
2月23日(金)、UNIDO東京事務所、初の試みとして、日本のメディアを訪問する大使館ツアーを実施。参加人数は、予想をはるかに上回る、37の在京大使館。5名の大使を含む、計46名となりました。
本ツアーは、日本の新聞業界、特に経済ニュースの仕組みの理解を、目的としたもの。まずは、国際部のチームの案内で、写真撮影とビデオ紹介につづき、編集フロアを訪問した後、一同はレセプションルームへ。渡辺雅隆社長と坂尻信義国際報道部長からの歓迎を受け、一人ひとりが同氏らと和やかに名刺交換をしました。
「これほど大勢の外交官のみなさまを本社にお迎えするのは、おそらく、前例のないことだと思います。関心を持っていただき、大変にうれしく思います」と、挨拶に立った渡辺社長は、外交官達に語りかけました。社員4,500人、発行部数600万部、デジタル版登録者数300万人を誇る朝日新聞社は、来年創刊140周年を迎えます。また、同社は、ニューヨークタイムズ紙とも提携しており、その支社は、朝日新聞社内にあります。「我々は、「だれひとり取り残さない」という理念に基づく、国連が率いるSDGsに共鳴しています。皆さまの国が抱える課題の解決で、お力になれることがあれば、様々な形でお力添えをできるかと思います」と語る渡辺氏の言葉に、頷く外交官の姿も多くありました。
続いて、丸石伸一経済部長と、SDGsプロジェクトを牽引する報道局デスクの北郷美由紀氏が、プレゼンテーションを行い、それぞれの専門分野について、読者が求める視点や今後の展望について語りました。その熱意のこもったプレゼンテーションは、「読者のニーズをどのように汲み取るのか」、「ニュースの正確性はどのように期すのか」、「将来をどのように見据えるか」など、外交団からの多くの質問を誘いました。「日本のメディア訪問は初めて。大変貴重な機会だ」とコメントした外交官は、プレゼンテーションを終えた講演者たちとの名刺交換の列に、足早に加わっていました。
最後は、ツアーのハイライトのひとつ、本社ビルの地下にある印刷ラインへの訪問。エレベーターを降りた途端にたちこめるインクの香りをたどるように、外交団は、輪転機のある印刷所内へ。1秒に25〜50部、1時間に9万から18万部刷り上げる大型の機械を前に、一同からは感嘆の声が漏れていました。印刷の大音量の中、猛スピードで端から端へと印刷された新聞が流れていく様子は、日常では見る事のできない景色でした。
「参加者のみなさんに喜んでいただいたようで、準備した苦労も報われたと思いました」と、国際報道部次長の春日芳晃氏。「新聞をつくるには、取材記者、編集者、印刷担当者、販売担当者、新聞配達員ら多くの人が真剣にかかわっていることを知ってもらう貴重な機会になったと思います。これを機に、UNIDO東京事務所の方々、在京大使館関係者の方々と今後ともおつきあいさせていただければ、とてもうれしいです」と付け加えました。
冒頭で撮った集合写真は、その日の紙面の一面記事の体裁で制作され、参加者に記念品として配布されました。外交官たちは、最後まで興奮した様子。笑顔でバスに乗り込み、見送りに立った国際部と読者サービスの皆さんへ大きく手を振りながら、日本の朝日新聞本社を後にしました。
概要
名 称 朝日新聞本社訪問(在京大使館プログラム)
日 時 2018年2月23日(金)
会 場 朝日新聞東京本社
参加大使館
アルジェリア民主人民共和国、イラン・イスラム共和国、インド、インドネシア共和国、ウガンダ共和国、ウルグアイ東方共和国、エジプト・アラブ共和国、エルサルバドル共和国、ガーナ共和国、キューバ共和国、コロンビア共和国、ザンビア共和国、ジンバブエ共和国、スーダン共和国、タジキスタン共和国、チュニジア共和国、トルコ共和国、パキスタン・イスラム共和国、パナマ共和国、パラグアイ共和国、バングラデシュ人民共和国、東ティモール民主共和国、フィリピン共和国、ブラジル連邦共和国、ブルキナファソ、ベトナム社会主義共和国、ベナン共和国、ベネズエラ・ボリバル共和国、ベリーズ、ボリビア多民族国、ホンジュラス共和国、マラウイ共和国、南アフリカ共和国、メキシコ合衆国、ラオス人民民主共和国、レソト王国、ロシア連邦
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