UNIDO東京事務所は10月20日(水)に、駐日エジプト・アラブ共和国大使館、中東協力センター(JCCME)との共催で 「エジプトビジネス・投資セミナー」をオンラインで開催しました。
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本セミナーでは、UNIDO東京事務所の安永裕幸所長の開会挨拶に続き、中東協力センター代表専務理事眞鍋隆氏、アイマン・カーメル駐日エジプト大使、能化正樹駐エジプト大使からも開会に際したコメントが寄せられ、エジプトが有する豊富な資源や成長を続ける魅力的な市場に関する紹介とともに、今後の日本・エジプト間のさらなるパートナーシップの強化に向けての期待が述べられました。
その後の開会挨拶で経済産業省の山中修審議官は、これまで日本が貢献してきたエジプトのプラント・インフラ開発や、自動車分野を中心とした日本企業の進出に言及するとともに、エジプトは中東・アフリカ・欧州の物流、交通の要であり、今後日アフリカ全体の協力関係を強化する上でも日本にとって重要なパートナーであると述べました。続くエジプト投資・フリーゾーン庁(GAFI)アムール・ヌルディン氏からは、海外からの直接投資を引きつける国内のビジネス環境整備の取り組みが紹介され、日本はエジプトにとって持続可能な発展を達成するための戦力的なパートナーであることが強調されました。また、新たな政府のターゲットして、特に日本からの自動車関連産業誘致に尽力していることが紹介されました。
2部構成で行われたパネルディスカッションでは、それぞれ「投資環境とビジネスチャンス」、「サステナブル&グリーン・エネルギー」と題し、日本・エジプト双方からパネリストを迎え、エジプトにおけるビジネスの最新動向について知見を深めるとともに、日本企業のビジネス・投資促進の糸口を探りました。
UNIDO東京事務所フェルダ・ゲレゲン氏のモデレートによる前半のパネルディスカッションではエジプトのビジネス環境や、エジプトにおける日本企業のビジネス・投資促進への可能性について議論が交わされました。初めに、エジプト投資・フリーゾーン庁 (GAFI)のアフメド・ゾヘール氏(登壇資料)は、エジプトの概要に触れた上で、なぜ今エジプトに投資するべきなのか、エジプトのビジネスパートナーとしての魅力を紹介し、さらには、今後はグリーン成長に注力していくことも述べられました。続くスエズ運河経済特区のワリッド・ガマル・エルディン氏(登壇資料)は、同経済特区内の概要や強み、投資先としての魅力を説明し、日本企業、特に自動車関連産業を積極的に誘致したいと述べました。
通信・情報技術省情報技術産業開発庁 (ITIDA) のヤセル・モハメッド・アブデルバリ氏(登壇資料)は講演の中で、IT-ICT分野におけるエジプトの投資先としての魅力を紹介し、中でも政府からの補助金や税金控除に加え、他の途上国・新興国と比べて人件費も安く、コストが低く抑えられる点を強調しました。エジプト国鉄公社のムスタファ・シャヒン氏(登壇資料)は、国内の鉄道事情の概要とこれまでの開発の経緯を述べた上で、現在議論がなされてるプロジェクトの紹介や今後どういった分野で開発を進めていきたいかの方針が述べられました。前半部分最後のプレゼンターを努めたJETROカイロ事務所の福山豊和氏(登壇資料)は、「エジプトでの商機」と題し、コロナ禍においても安定して成長を続けるエジプト経済は、エジプト大統領主導による経済政策の結果とし、今後も成長が期待されるエネルギーや建設産業に焦点を当て、外国政府や企業とのパートナーシップの重要性を強調しました。
次に、中東協力センターの大矢隆氏のモデレートによる後半のパネルディスカッションでは、サステナブル&グリーン・エネルギーに特化したエジプトの政策が紹介され、持続可能なエネルギーに関する議論が展開されました。電力・再生可能エネルギー省のアハメド・モハメッド・マヒナ氏(登壇資料)は、エジプトのエネルギー戦略において、エジプト政府は2035年までに国内電力の42.7%を再生可能エネルギー由来にすることを目標と定め、今後石炭由来エネルギーは再生可能エネルギーへと変換されていくと述べました。エジプトガス公社のサミール・マフムッド・エル・カリーシュ氏(登壇資料)は、再生可能エネルギーの中でも特に注目を集める水素に関して、国内での製造の歴史と製造能力を説明し、今後他国と協同し開発を進めることで、地域の水素パイオニアになる可能性を示唆しました。
JICAの讓尾進氏(登壇資料)は、エジプトにおけるJICAのこれまでのエネルギー分野での取り組みを紹介し、日本とエジプトの強固なパートナーシップや日本の持続可能なエネルギー開発における貢献を示唆しました。豊田通商株式会社の小山徳治氏(登壇資料)は、スエズ湾における同社の風力発電プロジェクトを紹介し、再生可能エネルギープロジェクトの成功には1)エジプト政府からの支援、2)日本政府からの支援、3)民間企業の参加、の3つが不可欠であると述べました。最後に、株式会社HyWealth の広瀬雄彦氏(登壇資料)は、日本と世界での水素エネルギー開発の状況を説明しました。日本とエジプト両国にとって、水素エネルギーの活用はカーボンニュートラル達成の道筋となり得るとし、新たなビジネスの可能性も示唆しました。
質疑応答では、モデレーターからの質問に加え、参加者からも複数の質問が寄せられました。「コロナ禍において外国資本、特に日本からの投資先として注目されているのはどの分野か」という質問に対して、GAFIのアフメド・ゾヘール氏の氏はインフラ産業に言及した上で、その他の分野でも多くの問い合わせや交渉がコロナ禍において行われてきたことに触れ、特に産業特区でのビジネス展開に積極的な外国企業が多いことを示唆しました。持続可能なエネルギーに関する質問では、電力・再生可能エネルギー省のアハメド・モハメッド・マヒナ氏がエジプトが、特にエネルギー貯蔵庫、大規模バッテリー、水素の分野で他国や外国企業との協力の上で開発を進めていきたいと述べました。
閉会挨拶では、エジプト大使館参事官のモハメド・イブラヒム氏より本セミナー開催における感謝の意が述べられ、エジプトは日本企業を誘致する準備が整っていることが強調された上で、今後も日本・エジプト間のパートナーシップを強化していくが、新たなビジネス機会の創出に繋がっていくと述べました。
概要
日 時: 2021年10月20日(水)16:30~19:00(日本時間)
場 所: オンライン
主 催: 駐日エジプト・アラブ共和国大使館商務局、UNIDO東京事務所、中東協力センター(JCCME)
参加費: 無料
言 語: 日・英同時通訳
司 会: 小野崎 慈慶(UNIDO東京事務所)
プログラム
日本時間
16:30- 開会挨拶
UNIDO東京事務所 所長 安永 裕幸
中東協力センター 代表専務理事 眞鍋 隆
エジプト・アラブ共和国 特命全権大使 アイマン・カーメル閣下
在エジプト日本国大使館 特命全権大使 能化 正樹 閣下
16:45- 歓迎挨拶
経済産業省 通商政策局 審議官(通商戦略担当) 山中 修氏
エジプト投資・フリーゾーン庁(GAFI)CEO顧問 アムール・ヌルディン氏
16:55- パネルディスセッションⅠ- 投資環境とビジネスチャンス
モデレーター:UNIDO東京事務所 次長 フェルダ・ゲレゲン
パネリスト:
エジプト投資・フリーゾーン庁 (GAFI) 投資促進局 海外投資促進局長 アフメド・ゾヘール氏
スエズ運河経済特区 CEO ワリッド・ガマル・エルディン氏
通信・情報技術省情報技術産業開発庁 (ITIDA) 電子産業プログラム部長 ヤセル・モハメッド・アブデルバリ氏
エジプト国鉄公社 事業局長 ムスタファ・シャヒン氏
JETROカイロ事務所 所長 福山 豊和氏
17:55- パネルセッションⅡ- サステナブル&グリーン・エネルギー
モデレーター:中東協力センター 審議役 大矢 隆
パネリスト:
電力・再生可能エネルギー省 調査・計画・フォローアップ担当 一等次官 アハメド・モハメッド・マヒナ氏
エジプトガス公社 副理事長 兼 グリーンエネルギープロセススーパーバイザー
サミール・マフムッド・エル・カリーシュ氏
JICA 社会基盤部 資源・エネルギーグループ課長 讓尾 進氏
豊田通商株式会社 プラント・プロジェクト部 部長 小山 徳治氏
株式会社HyWealth CEO 兼 九州大学 I2CNER WPI 招聘教授 広瀬 雄彦氏
18:55- 閉会挨拶
エジプト大使館参事官(商務部長) モハメド・イブラヒム氏
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