UNIDO東京事務所は2021年12月9日(木)、「開発途上国で伝統的に男性優位の産業・職業におけるジェンダー平等と女性の経済的エンパワーメントの推進」と題したオンラインイベントを開催しました。
本イベントは、今年5月に開催したオンラインイベント「女性のエンパワーメントとSDG Goal 9 『産業と技術革新の基盤をつくろう』」に続き、ジェンダーをテーマにした第2回目のイベント。持続可能な開発目標(SDGs)の目標5「ジェンダー平等」と目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に向けて、ジェンダー平等や女性の経済的エンパワーメントの推進を通じて途上国の産業開発にどのように貢献できるか、が今回の主なテーマとなりました。
パネルディスカッションの冒頭、司会を務めるUNIDO産業開発エキスパートの石川明美は、女性が世界労働人口の40%を占める一方で、製造業、公共事業、鉱業、建設業を合わせても女性の割合は30%未満にとどまる現状を紹介。UNIDO Guide to Gender Analysis and Gender Mainstreaming the Project Cycleを元に、女性の所得や教育、働きがいのある人間らしい仕事へのアクセス、管理職への平等な参加といった女性のエンパワーメントの推進が包括的で持続可能な産業開発(ISID)に乗数効果をもたらす」と述べました。
パネルディスカッションには、民間企業やUNIDOから3人のパネリストが登壇しました。まず倉澤佳子氏(コマツ サステナビリテイ推進本部副本部長、CSR室長)はUNIDOと共同するアフリカでの重機トレーニングプロジェクトを紹介し、開発途上国におけるコミュニティや地域の人材開発は、ビジネスにとっても有益であることを説明。自身のこれまでの経験を踏まえ、「(男性優位の産業・職業でも)目的を明確に持ち、自らの考えを発信していってほしい」と投げかけました。
続いて登壇したのは、コマツとのプロジェクトを担当するスタブロス・パパスタブロウ(UNIDO産業開発オフィサー)。ジェンダー平等の概念を実際の現場に適用することの難しさについて触れ、「男性優位の産業において女性が活躍するためには、技術やスキルの習得が必要なのはもちろん、彼女たちが安心して作業着に着替えるための更衣室の設置や、メンターになり得る女性トレーナーの起用など、環境整備も合わせて行う必要がある」と強調しました。
UNIDO東京事務所からは所長の安永が登壇し、産業分野において女性の活躍は包摂的で持続可能な産業開発(ISID)やSDGsの達成に不可欠であり、「人口の半分を占める女性が活躍できない産業・職業は、その可能性の半分を失っている」と指摘。ジェンダー平等実現に向け、いま良い方向に変わりつつある社会の流れを加速させるためにマインドセットが重要であると述べました。
概要
日 時: 2021年12月9日(木)17:00~18:00(日本時間)
形 式: オンライン
言 語: 英語 (日本語の同時通訳あり)
プログラム(敬称略)
17:00 開会挨拶:壽郁恵(UNIDO 東京事務所職員)
17:05 パネルディスカッション:
モデレーター 石川明美(UNIDO産業開発エキスパート)
パネリスト
・倉澤佳子(コマツ サステナビリテイ推進本部副本部長、CSR室長)
・スタブロス・パパスタブロウ(UNIDO産業開発オフィサー)
・安永裕幸(UNIDO東京事務所所長)
17:45 Q&Aセッション
19:25 閉会挨拶:フェルダ・ゲレゲン(UNIDO東京事務所次長)
【問合せ先】
UNIDO東京事務所 担当: 西山
E-mail: [email protected]