UNIDO東京事務所は2022年3月17日、欧州復興開発銀行(EBRD)とともに、オンラインセミナー「ESG投資を通じた持続可能な成長の実現」を開催しました。
本イベントでは、両機関の職員や中東協力センターの専門家らが、各機関・団体の活動を紹介した後、欧州が先駆けているESG(環境・社会・ガバナンス)対応の考え方や循環型経済の実現について、講演やパネルディスカッションを行い、中東欧、中央アジア、北アフリカ地域への進出を検討している日本企業から約150人が参加しました。
冒頭のプレゼンテーションで、EBRD本部環境局の市川伸子氏は、EBRDが2025年までに年間の投融資の50%以上を太陽光や地熱、風力といった持続可能な分野への投融資への転換に取り組んでいると説明。2019年にアフリカに建設された100万世帯以上にエネルギーを供給する太陽光発電の事例を挙げ、EBRDが主要な融資機関の一つとしてこのプロジェクトを支援したことを紹介しました。「新型コロナウイルスや気候変動、ロシアのウクライナ侵攻など厳しい状況が続く中、ESGはリスクマネジメントになる。これが個人、地域共同体、企業体、国レベルにも大きな課題になってくる」と述べました。
一方、UNIDO本部環境部の西尾なほみ氏も、UNIDOが包摂的で持続可能な産業開発を推進するため、政策提言やキャパシティビルディング、民間セクターのサポートなどを通じて、脱炭素や循環経済、再生可能エネルギーに関わるプロジェクトを実施しているとし、「EBRDなどの機関が投資しやすい環境をつくることが私たちの仕事」と述べました。また、アフリカなどでいま求められている日本企業の技術として、プラスチックの代替素材製造技術や、印刷や成型の技術、リサイクリング技術などを挙げました。
パネルディスカッションには、上記の2人に加え、大矢伸氏(EBRD東京事務所所長)、大矢隆氏(中東協力センター審議役)、安永裕幸氏(UNIDO東京事務所所長)が登壇。大矢伸氏はEBRDによる投資のメリットとして、ソブリン・リスク(国家のリスク)に対する解決力の高さや融資の速さを挙げ、「民間セクターの案件に積極的に取り組んでおり、様々なセクターの知見もある」と述べました。西尾氏は「日本企業の良い技術を事前に情報共有してほしい。良いタイミングでカウンターパートに紹介できれば、プロジェクトにつながる」と述べ、UNIDO東京事務所によるサステナブル技術普及プラットフォーム(STePP)への登録を呼びかけました。最後に、安永氏は「UNIDOとEBRDは相互補完的な仕事ができる。欧州や北アフリカなどでは再生可能エネルギーの新たなビジネスチャンスが生まれようとしている。グリーンを目指した活動を、EBRD、中東協力センターや日本の民間企業と共に進めていきましょう」と締めくくりました。
概 要
日 時: 2022年3月17日(木) 17:00-18:10
実施方法: オンライン開催(Cisco Webex Meeting)
主 催: UNIDO東京事務所、欧州復興開発銀行(EBRD)
協 力: 一般財団法人 中東協力センター(JCCME)
言 語: 日本語
参加費: 無料
*セミナー講演資料は、下記プログラムの講演者名からご覧いただけます。
プログラム(敬称略)
17:05~: 開会のご挨拶及びUNIDO/EBRDのご紹介
UNIDO東京事務所 所長 安永 裕幸氏
EBRD東京事務所 所長 大矢伸氏 / 事業開発担当 田中 考学氏
17:25~:プレゼンテーション
• 市川 伸子氏(EBRD 本部 環境局 シニア環境アドバイザー)
• 西尾 なほみ氏(UNIDO 本部 環境部 産業開発エキスパート)
• 大矢 隆氏(中東協力センター 審議役)
17:40~:パネルディスカッション 及び Q&A
• 安永 裕幸氏
• 大矢 伸氏
• 市川 伸子氏
• 西尾 なほみ氏
• 大矢 隆氏