国際連合工業開発機関(UNIDO)と在ウィーン国際機関日本政府代表部は2022年3月24日、ウェビナー「UNIDO-Japan Cooperation:新型コロナウイルスの影響を緩和する日本の技術移転」を開催し、様々な国から225人が視聴しました。UNIDOは日本政府の資金提供を受け、2020年から日本企業と共にアジアやアフリカへの技術移転を通じた新型コロナウイルス対策のプロジェクトを実施しており、本イベントでは、プロジェクトに携わった日本企業や現地パートナーなどが各国での活動や成果を紹介しました。
本イベントは、UNIDOデジタル化・技術・アグリビジネス局長のベルナルド・カルサディラ・サルミエント氏による歓迎の言葉で開会されました。UNIDOのゲルト・ミュラー事務局長はビデオメッセージを寄せ、「現在も続く新型コロナウイルスによるパンデミックの影響を最も受けているのは、貧しい人たち。アフリカとアジアの10か国において、イノベーションと投資を促進する今回のプロジェクトを実行した日本政府と日本企業に感謝します」と述べた上で、「私たちはグローバルな課題に対応するための知識を持っており、開発途上国にそれを届ける必要がある」と、今後さらに技術やノウハウの移転を促進させると表明しました。
在ウィーン国際機関日本政府代表部の引原毅大使は、「新型コロナウイルス感染症によるパンデミックは、グローバルな人道危機であり、今回のプロジェクトは様々な制限の中で関係者が強力なパートナーシップを構築し、途上国の能力強化に貢献しました」と評価。また、今年8月に開催予定のTICAD8に言及し、改めて国際協力における政府間および多様な機関との関わりを高めていく必要性を強調しました。
続いて、UNIDO東京事務所の安永裕幸所長が今回のプロジェクトの概要や「サステナブル技術普及プラットフォーム(STePP)」について説明しました。本プロジェクトで技術移転の対象国の一つとなった、駐日ケニア共和国大使館のタブ・イリナ大使は、「ケニアで実施された3つの技術移転プロジェクトに際し、関係者の皆様の多大な支援に感謝いたします。今後も社会的・経済的課題への対応として、引き続き結果重視の二国間および多国間協力が求められており、相互にとって有益かつ強力なパートナーシップの構築が重要です」と述べました。
パネルディスカッションにおいては、安永所長に加え、サラヤ株式会社の中村タマロステファニー氏、ケニア・ムトゥイニ病院の医療事務責任者 兼 臨床薬剤師のジョセフィン・ワンブイ・ングリ氏、丸昌産業株式会社の坂田亜矢氏、ベトナム・ダナン大学のホアン・ハイ博士の4名もパネリストとして参加し、プロジェクトにおける経験や教訓について紹介しました。
- プロジェクトを進める中で、啓蒙活動の重要性を実感した。今後もワークショップを開催し、衛生環境整備の必要性や手指消毒の有効性に関する現地の人々の理解を高めていきたい。
- コロナ禍の様々な規制により、技術者やオペレーターへの訓練を含む、全てのプロセスをオンラインで行う必要があった。効果的なICTの活用が、プロジェクト成功の大きな要因である。
- 衛生管理の意識はあるものの、予算がなく、適切な対応ができない施設がたくさんあることを知った。各国の保健省等が支援を強化し、国内における衛生産業の育成へ繋げてほしい。
- プロジェクト開始から1年を経ても、その効果が確認された。技術を紹介するオンラインセミナーを地元で実施したところ反響が大きく、今後は他の施設や地域への拡大が期待される。
STePP 技術実証プロジェクトに関する紹介動画
STePP 技術実証プロジェクトのパンフレット(英語)
プロジェクトの成果については、STePP技術実証プロジェクト成果ページをご覧ください。
本イベントのプログラム概要
日付:2022年3月24日(木)
時間:10:00-12:00(中央ヨーロッパ時間)、18:00-20:00 (日本時間)
言語:英語 (日本語とフランス語での同時通訳あり)
Part 1:UNIDO・政府高官によるセッション
(10:00 中央ヨーロッパ時間/18:00 日本時間)
■歓迎のことば | ベルナルド・カルサディラ・サルミエント 氏 UNIDOデジタル化・技術・アグリビジネス局長 |
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■開会挨拶 | ゲルト・ミュラー 氏 UNIDO事務局長 (ビデオメッセージ) |
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引原 毅 氏 在ウィーン国際機関日本政府代表部 特命全権大使 |
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■プロジェクトビデオの投影 | ||
■プロジェクトの概要 |
安永 裕幸 氏 UNIDO東京事務所 所長 |
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■挨拶 | タブ・イリナ 氏 駐日ケニア共和国大使館 特命全権大使 |
Part 2: STePP 技術実証プロジェクト ケーススタディとパネルセッション
(10:40 am 中央ヨーロッパ時間/18:40 日本時間)
■ケーススタディ 1 (アフリカ) | 中村 タマロステファニー氏 (日本) サラヤ株式会社 |
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■ケーススタディ 2 (アフリカ) | ジョセフィン・ワンブイ・ングリ氏 (ケニア) ムトゥイニ病院 医療事務責任者 兼 臨床薬剤師 |
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■ケーススタディ 3 (アジア) | 坂田 亜矢氏 (日本) 丸昌産業株式会社 |
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■ケーススタディ 4 (アジア) | ホアン・ハイ博士 (ベトナム) ダナン大学 |
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■パネルセッション:ディスカッション、視聴者による投票、Q&A |
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■閉会の挨拶 | 国吉 浩氏 UNIDO事務次長 |
プレゼンテーション資料