UNIDO東京事務所は2022年7月26日、オンラインセミナー「アフリカの起業家に学ぶ:ジェンダー平等を踏まえたビジネス展開の課題と展望」を開催しました。アフリカでビジネスを展開しながら女性のエンパワーメントに貢献している3人の起業家をスピーカーに招き、ジェンダー平等の視点を踏まえたビジネスについて議論しました。世界各地から125人が本イベントを視聴しました。
当事務所は2021年から、SDGs(持続可能な開発目標)の目標5「ジェンダー平等」と目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成を目指して、ジェンダー平等に焦点を当てたウェビナーシリーズを開催。本イベントは2021年開催した2回のイベントに続く第3弾となりました。
今回スピーカーとして登壇したのは、銀行員から転身してウガンダで現地の素材を生かしたバッグや雑貨を販売する株式会社RICCI EVERYDAYのCOO仲本千津さん、ガーナの女性や若者にICT教育を提供するSoronko AkademyのCEOレジーナ・ホヌさん、セネガルの未電化村落に電気や通信を届ける事業に取り組む株式会社シュークルキューブジャポンCEOの佐藤弘一さんの3人。
3人がそれぞれの会社の取り組みについて紹介した後、UNIDO東京事務所のゲレゲン・フェルダ次長が司会を務めたパネルディスカッションでは、主に以下の質問をもとに3人が意見を交わしました。
・日本企業はビジネスを通して開発途上国におけるジェンダー平等にいかに貢献できるか
・どうやって自身のビジネスにジェンダー平等の視点を盛り込むか
・ビジネスにジェンダー平等の視点を盛り込む意義
仲本さんは、アフリカでは貧困層の女性がインフォーマルセクターの仕事で不安定な生活を送っていると指摘し、「彼女たちがより安定したフォーマルセクターで働く支援が必要」と述べました。仲本さんの会社ではウガンダの都市部に住むシングルマザーを約20人雇用しています。一方レジーナさんは「男女の両方の視点がイノベーションを生み、ビジネスで競合他社をリードできる」と強調。そのためには、会社が産休・育休制度の充実、男女平等な昇進、セクシャルハラスメントの防止といった女性が継続して活躍できる職場環境の整備が不可欠だと指摘しました。佐藤さんはアフリカでビジネスを成功させる重要なポイントとして、「目の前の課題に柔軟に対応できるスタートアップのマインドを持った人に加え、ジェンダーを含め様々な立場や文化、特長を持った人たちの連携によってイノベーションが生まれる」と強調しました。
また、UNIDOに対する提言として、起業家たちから「産業界のような男性優位の環境でこそ、より意識的に女性の視点を取り入れる試みが必要」「地方に住むお母さんにインタビューするなど、ローカルの現状や視点にもっと着目して技術移転に取りんでみる」といった意見が上がりました。
以下よりイベントの録画を閲覧できます。
概要
日時:2022年7月26日(火)17時〜18時半(日本時間)
言語:英語(日本語の同時通訳あり)
費用:無料
開催形式:Zoom
プログラム
17:00 開会挨拶
アスマオ・ディアロ氏
(MC、UNIDO東京事務所インターン、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士課程在学中)
17:05 – 17:35 アフリカの起業家たちによるプレゼンテーション
・株式会社RICCI EVERYDAY CEO 仲本千津氏 (ウガンダ)
・ソロンコ・アカデミー (Soronko Academy) CEO レジーナ・ホヌ氏(ガーナ)
・株式会社シュークルキューブジャポン CEO 佐藤弘一氏 (セネガル)
17:35 – 18:25 パネルディスカッションとQ&A
モデレーター
フェルダ・ゲレゲン氏(UNIDO東京事務所次長)
パネリスト
仲本千津氏
レジーナ・ホヌ氏
佐藤弘一氏
18:25 閉会挨拶
アスマオ・ディアロ氏