UNIDO東京事務所は2023年3月1日、オンラインセミナー「ジェンダーレンズ投資について考えよう」を開催しました。本イベントは、ジェンダー平等をテーマにした第4回目のイベントで、アフリカやアジアでジェンダー平等に取り組むスピーカーらを招き、投資を通じてジェンダー平等に良いインパクトをもたらす「ジェンダーレンズ投資(以下、GLI)」について議論しました。
冒頭のプレゼンテーションでは、UNIDO本部投資エキスパートのジェシカ・ノイマン氏が、ジェンダーギャップがなくならない理由として、「男性は女性より説得力がある」といったバイアスや女性起業家に対する不鮮明な投資基準、そして女性の自信の欠如などを挙げ、「GLIは女性のリーダーシップ向上や資本アクセスの改善、女性起業家の増加につながり、それらが社会課題の解決やビジネスチャンス、従業員の満足度向上などにつながっていく」と強調しました。
続くパネルディスカッションには、ナイジェリアで若者や女性などの起業家を支援するFATE Foundationエグゼクティブディレクターのアデニケ・アデエミさん、日本や世界でサステナブルなビジネスに投資する株式会社SDG Impact Japan共同代表の小木曽麻里さん、UNIDO東京事業所アフリカアドバイザーとしてエチオピアなどを担当するタデッセ・セグニさんの3人が登壇。司会はUNIDO東京事務所の村上秀樹次長が務め、以下の点などについて意見を交わしました。
・企業はジェンダー平等に対応するため、どういったアクションをとるべきか
・どうすれば効果的に女性主導のビジネスを支援できるか
・GLIを普及させるにはどのような課題があるか
・アフリカなどのビジネスの現場でGLIやジェンダー平等の現状は
アデニケさんは、企業がジェンダー平等に配慮するためのアドバイスとして、「自社の全ての活動をジェンダーレンズ評価してみてほしい。そうすることで、自社の何が女性にとって魅力で、または遠ざける要因となっているかが見えてくる」と提言。また、アフリカでの女性主導のビジネスをサポートする上で、「多様な国や文化、民族、ビジネスがあるため、アクセスできる関連情報がどこにあるのかを把握し、 それらを理解することに誠実かつ包括的である必要がある」と述べました。
小木曽さんは、自社がジェンダー平等や環境、ガバナンスなどへの社会的インパクトを重視する投資ファンド「NextGen ESG Japan Fund」に取り組んでいることを紹介した上で、ポジティブなパフォーマンスを達成していると報告。一方で、「女性の視点と男性の視点の差別化が利益の源泉になる」という考え方が浸透していないと指摘し、ジェンダーに注目した金融商品の充実などが重要だと述べました。また、タデッセさんは「エチオピアの金融機関においてもジェンダーに配慮した視点が導入され始めており、特に繊維やファッションなどの分野で積極的な女性の登用が進められている」と現状を報告し、長年にわたるサポート事例として、エチオピアの高級レザー製造販売会社を経営する日本人女性起業家の取り組みを紹介しました。
UNIDOでは、ジェンダーレンズ投資に関する無料のオンライントレーニング(英語のみ)を提供していますので、本テーマにご関心がある方はぜひご活用ください。
以下よりイベントの録画を閲覧できます。
<イベント開催概要>
日時:2023年3月1日(水)17時〜18時半(日本時間)
言語:英語 日本語(同時通訳あり)
費用:無料
開催形式:Zoom
<プログラム(敬称略)>
17:00 開会 西山良太(UNIDO東京事務所広報担当)
17:05-17:20 プレゼンテーション:「ジェンダーレンズ投資」 ジェシカ・ノイマン(UNIDO本部投資促進エキスパート)
17:20-18:25 パネルディスカッション
モデレーター 村上秀樹(UNIDO東京事務所次長)
パネリスト
アデニケ・アデミエ(FATE Foundation エグゼクティブディレクター)
小木曽麻里(SDGs Impact Japan 共同代表)
タデッセ・セグニ(UNIDO東京事務所アフリカアドバイザー)
18:25 閉会