エジプト・ナイジェリアビジネスセミナー [東京]

アフリカでも成長著しい、エジプトとナイジェリア。2月17日(金) 、エジプト投資・フリーゾーン庁（GAFI）、ナイジェリア投資促進委員会（NIPC）、それぞれの長官およびジャパンデスク担当者が来日する機会を捉え、UNIDOはジェトロと共にビジネスセミナーを開催しました。事前申し込みの告知から、数日のうちに満席となるほど人気を博し、両国への関心の高さが伺われました。

セミナーは、ジェトロ総括審議役（途上国ビジネス開発担当）吉村佐知子氏による開会挨拶に続き、ジェトロ海外調査部中東アフリカ課　髙崎早和香氏が登壇。昨年、アフリカ大陸に所在する日系企業を対象に行われた調査（対象国：24カ国、回答企業数299社）を元に、「アフリカ経済概況及び日系企業実態調査の結果」の発表を行いました。アフリカ経済概況においては、特に名目GDPおよび人口の項目で、それぞれ１位ナイジェリアと3位エジプトに焦点を当て、また、すでに進出している日系企業については、アフリカ市場における事業拡大の理由に、「売り上げの増加」、「整調性、潜在力の高さ」といった点を挙げていると紹介。アフリカ投資への魅力とリスク、今後の展望について語りました。

続いて、各国の紹介へ。まずは来日者が各国におけるビジネス・投資環境についてプレゼンテーションを行い、それを受け、現地で事業を展開する日系企業の代表者から発表が行われました。

エジプト投資・フリーゾーン庁（GAFI）長官　モハメド・ホデール氏は、エジプトが抱える課題を踏まえた上で、シシ大統領によるリーダーシップの持続により、同国が成長と安定を築いていると強調。特にインフラの改善、またレジリエントな経済社会が構築される事で、国内外のショックに耐えうる仕組みを維持しているとした上で、同国への投資を促しました。

ホデール氏の講演を受け、エジプトに事業を展開する、日産モーターエジプト会長兼社長、北アフリカ事業統括の關口勲氏は、シシ大統領就任後、政治および治安が安定している事を実感しているとした上で、エジプトの最大の魅力は、人口規模及び長期的に経済成長が見込まれる、市場のポテンシャルにあると強調。同社が、情報収集に注力した上でエジプトへの事業展開に至ったなど、現地事業設立の背景にも触れ、また、他の新興国同様、オペレーション上のリスクは存在するとコメント。自身も避けるべきエリアを避けた上で、通常の生活を送っており、セキュリティー上危険な目にあった事はない、と語りました。

後半はナイジェリア。ナイジェリア投資促進委員会（NIPC）長官イェワンデ・サディク氏は、同国が汚職の撲滅、テロ対策などといった課題に取り組みながら、サブサハラアフリカで最も高いGDPを維持し、経済成長を続けていると述べた上で、ナイジェリア・日本間における協定締結にも意欲を示しました。また、同国が石油産業への依存にとどまらず、農業、鉱物資源、ヘルスケア、教育などの分野に注力している事も強調。慎重を期す事で、1億8,300万のマーケットへのアクセスに遅れをとる事のないように、と日系企業による投資を促しました。

これを受け、キャノン・ヨーロッパ、Sales Development & Marketing Director, B2C Products, Emerging Market Business Unitの佐藤弘治氏が、昨年秋、ナイジェリア市場への本格的な進出と現地法人設立に至った経緯を解説。アフリカ進出にあたり、低い可処分所得、非正規ルートでの販売、為替リスクが主な課題である事に触れた上で、同国では、市場の拡大と年20％の成長を目指すと語りました。また、短期的には難しいかもしれないが、中長期的なコミットメントには適したマーケットであると感じると、現地で事業を展開する自身の体験・感触も共有しました。

閉幕にあたり、UNIDO東京事務所所長国吉浩氏は、現地への進出にあたり、ジェトロやUNIDOなどの機関を多いに活用して頂きたいと力強く述べ、本セミナーは成功裡に終了しました。また、登壇者への質問は会場での質疑応答にとどまらず、セミナー終了後のネットワーキングでは、特に両国からの来日者の前に長い列ができるなど、日系企業による興味と期待の大きさが伺われました。