日本政府がUNIDOのプロジェクトに520万ドル拠出
2018.03.29
ウイーン 2018年3月28日
日本政府は、国連工業開発機関(UNIDO)がエチオピア、イラク、ヨルダン、レバノン、リベリア、ナイジェリア、ソマリア、シリアで実施する8件のプロジェクトに対して、520万ドル以上を拠出すると発表しました。
UNIDOのリー・ヨン事務局長と北野充在ウィーン国際機関日本政府代表部大使が共同開催する記念式典が行われ、受益国政府からも多くの代表者が参加しました。式の中では、最も弱い立場にある人々に対する「人間の安全保障」を確保することを目的としたプロジェクトが紹介されました。不平等、疎外、排斥に苦しむ女性や若者、難民や国内避難民を対象に、個々人や彼らのアイデンティティの尊重に焦点を当てながら、地域社会の再建に向けた自助努力を支援しています。
リー・ヨン事務局長は開会挨拶の中で、人間の安全保障のアプローチに基づき、人道的開発の連鎖強化と包摂的で持続可能な産業開発の促進とを目的としたこれらのプロジェクトは、日本政府の継続的な支援により実現するものである点を強調しました。北野大使は「このプロジェクトは、人々が健全な状態で生活して生活基盤を安定させ、それによって将来への希望を得ることを支援するものである」と述べ、受益国と支援国と民間セクターの三者がパートナーシップを実現するプラットフォームとしてのUNIDOの役割を評価しました。
エチオピアのプロジェクトでは、革新的で環境にやさしい水衛生システムを導入して、給水や公衆衛生、一般的な環境面での質の改善を目指します。また、エチオピア政府の農村WASHプログラムを支援しており、55,865ヵ所の新しい給水ポイントや水道網の構築のほか、2020年までに農村地域の20,010ヵ所の既存水道網の補修も対象としています。
イラクでは、産業・貿易・農業に関する中等学校において、技術とノウハウの訓練が導入されます。このプロジェクトは、難民や国内避難民、また難民受け入れ地域の次世代を担う若者を対象に、将来の雇用可能性を高めることを目的として実施されます。
ヨルダンでは、Irbid県とMafraq県の繊維産業を対象に支援し、難民受け入れ地域のヨルダン人とシリア難民双方の雇用を増やし、経済を強靭にして社会を安定化することを目指しています。地域において所得を生み出すための技能開発を促進するため、包括的な訓練プログラムを設計し実施します。
レバノンのプロジェクトでは、特に北部地域の難民受け入れコミュニティにおいて、木工部門や建設部門で経済的機会と雇用を創出することを目指しています。これまでの支援を踏まえて新しい訓練モジュールを設計し、市場競争力のある木工技術および建設技術の訓練を提供することに重点を置いています。
リベリアのBassa郡で実施されているプロジェクトは、特に若年層の失業対策を目的に、木材分野における民間企業と多国籍企業の協力を促進しています。地域社会のビジネス構築ノウハウを高めるために、多国籍企業と連携して技術訓練や職業訓練が開発されます。
ナイジェリアでは、日本政府拠出による過去のプロジェクトを発展させる形で高等教育をさらに改善し、小規模ビジネスの起業や経営を実践できる人材を育成します。プロジェクトが成功裏に進めば、貿易や起業家精神の訓練はナイジェリアのすべての高等学校のカリキュラムに取り入れられることになります。
ソマリアに最も新しく設立されたHirshabelle州でもプロジェクトが実施されます。内戦と部族紛争は、すべての産業分野の生産能力に深刻な悪影響を及ぼしています。地域の復興、安定、経済成長、紛争予防に貢献することを目標として、プロジェクトの焦点は人道支援から持続可能な開発支援へと移行しており、技術・職業技能訓練を実施することにより若年層の失業と過激化の連鎖を防ぎます。
シリア・アラブ共和国における紛争の影響対策には国連機関の協働が必要となっています。そこで日本政府は、国連開発計画を主機関とする共同プログラムの一環であるプロジェクトに拠出をし、他にも、国連人口基金(UNFPA)、国連人間居住計画(UN-HABITAT)、国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)が参画しています。多様な産業部門の訓練機会を提供して、中長期的に強靭な国づくりに必要となるシリアの人々のスキル・知識を向上させ、様々な分野における人的資本の維持・改善を目指します。 UNIDOは、重要な生産・産業インフラの早期復旧に向けたニーズ評価を実施しています。
For further information, please contact:
Monika Eichberger
Senior Resource Mobilization Assistant, UNIDO