ファッションショーと開発プロジェクト。一見相容れない二つの要素が組み合わさり、9月27日、シリア難民の女性たちがUNIDO職業訓練を通して身に付けた洋服づくりの技能を披露するファッションショーがトルコ・アンカラで開かれました。このプロジェクトは日本政府の資金提供によりUNIDOが実施しました。
本イベントはただファッション製品を紹介するだけではなく、シリア難民が訓練を通じて失った尊厳や希望をどのように取り戻したかを振り返る機会でもありました。
「シリアで戦争が始まり、私たちは常に危険と隣り合わせでした。トルコの人々は私たちに気さくに接してくれ、とても親しみを感じました。私たちは国を離れトルコに移り住むことにしました」と訓練を終えたメシド・アブドゥルクレメンさん。「キャンプでの暮らしは大変なものでした。この訓練は私たちにとって、心理的にも職業技能的にも重要な意味を持ちます。いまは将来への希望を持つことができ、このプロジェクトに関わってくださった皆さんに感謝したいです」と将来への展望を話しました。
アンカラでのショーに先立って、訓練施設が設置されたカフラマンマラシュ難民キャンプでも同じ週にファッションショーが催されました。
本プロジェクトはトルコの災害緊急マネジメント機関(AFAD)、国民教育省(MoNE)、イスタンブール衣服アパレル輸出協会(IKHIB)、トルコ労働機関(IS-KUR)、そして難民及び亡命者のための地中海協会(Akdeniz Mül-De)の協力を得て実施されています。シリア難民(特に女性や若者)が職業訓練を受け、手に職を持つことで、暮らし、社会的安定やリジリアンスを改善することを目的としています。コースでは主にミシンの操作、機器メンテナンス、模様の作成や生産管理に関する訓練が行われました。
「私たちが生涯学習として目指していることは、個人が質の高い暮らしを手に入れ、それを継続させることです。そのためには、技能と知識を身に付けなければなりません」とMoNE代表のジハン・クヴァンチ氏。
約1,000人の難民がこのコースを修了し、そのうち350名が起業と就業許可に関わるセミナーに参加。修了者全員がトルコの労働機関が運営する雇用データベースに登録し、未来への一歩を踏み出しています。さらに12人は指導者として同訓練コースを継続できるようにUNIDOの専門家から訓練も受けました。
「これで終わりではありません。訓練コースはMoNEの責任の下でこれからも継続されていきます」とUNIDOトルコ事務所代表スレイマーン・ユルマズ氏。「今回の成功が始まりに過ぎず、訓練が製造やマーケティング分野へと続き、訓練を受けた女性たちの貢献によってトルコの製品が世界に発信されていくことを期待しています」と続けました。
宮島昭夫駐トルコ日本国大使は「日本は人間の安全保障に取り組んできました。人々の命や生活、尊厳を重大かつ広範な脅威から守り、個人の能力発揮や女性のエンパワメントを進めることを目指しています」と述べ、「今回UNIDOプログラムの主要支援国としてここに立ち、そのプログラムが人間の安全保障の面で素晴らしい成果を生んだことを大変うれしく思います」と振り返りました。
本プロジェクトはカズィアンテプ県のイスラーヒエ、シャンルウルファ県のハッラーン、キリス県のオンジュプナルの3ヵ所で2015年に建設した職業訓練センターの成功を受けて行われています。これらのセンターでは、これまで計2,100名が訓練を受け、難民とその家族の生活に大きく役立っています。
プロジェクトの詳細はUNIDOの英文サイトをご参照下さい。
さらに詳しい詳細については以下担当者までご連絡下さい。
UNIDOプログラムコーディネーター メフタップ・アクガン (Mehtap Akgun)
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