2018年12月6日、ウィーンにて、日本政府の資金援助により国際連合工業開発機関(UNIDO)が行ったプロジェクトの成果が発表されました。このプロジェクトはアフリカにおいて、低炭素かつ気候変動に強靭(LCCR)な産業開発を促進することによって、気候変動で引き起こされた現地の課題解決に取り組んでいます。
プロジェクトはエジプト、ケニア、セネガル、南アフリカ4ヶ国で実施され、より環境に優しく、資源効率の良い生産サイクルへの変革を促しました。製造業における低炭素で気候変動に強靭な産業開発の可能性と有益性を実証しており、環境に配慮した産業政策、気候変動への適応、低炭素技術の促進と実践、さらには資源効率が良くよりクリーンな生産技術(RECP)の拡大と導入を行っています。
参加した現地企業各社は、プロジェクトが自社の活動にとって役立つものであると考えています。
セネガルの農産物メーカー、フリー・ワーク・サービス社のオーナーであるデメ氏は、再生可能エネルギーを用いた乾燥機と温室の導入を受け入れ、クスクスなどの雑穀製品を乾燥させるために利用しています。「新技術のおかげで、乾燥プロセスにかかっていた時間が大幅に短くなりました。以前は11時間の天日干しの後に8時間の機械乾燥を行っていましたが、現在は6~7時間の温室での乾燥と、3時間の機械乾燥になりました。」とデメ氏は話しました。
「エネルギー節約効果は大きく、当社の生産キャパシティを増加させることができます。」また、温室内で乾燥させることができるので、雨の心配をする必要が無くなりました、と付け加えました。
UNIDOのプロジェクトマネージャーであるスマイル・アルヒラリは「LCCRプロジェクトはアフリカ諸国と日本のパートナーシップを見事に促進しました。UNIDO東京事務所とも協力することで、現地のニーズに合う日本人技術者を見つけることができ、アフリカと日本を結ぶ橋渡しをすることができました。」と語りました。
サステナビリティ&レジリエンス社の創業者であり、プロジェクトの気候変動アドバイザーである高間剛氏は「気候変動対策に取り組む上で、緩和と適応は概念的に補完し合う戦略です。両者のシナジーを作りだすことで、例えばコスト効率など、別々に取り組んだときには得られない様々なメリットを得られます。特に産業セクターにおいて当てはまるのが、環境変化への適応戦略に対する認識や導入が遅れているということです。環境変化への適応は将来の気候変動リスクに対する投資と捉えるべきですが、費用アップと考えている関係者が多いのが実態です。」と話しました。
UNIDOの英文サイトをご参照下さい。さらに詳しい詳細については以下担当者までご連絡下さい。
Smail Alhilali
Chief
UNIDO Emerging Compliance Regimes Division
Email
プログラムの詳細については、下記のリンクからダウンロードできます(英語のみ)。
LCCR-Impact-Report