UNIDO東京事務所は、2022年8月31日、タジキスタン共和国投資・国有資産管理国家委員会、駐日タジキスタン大使館とともに、オンラインセミナー「タジキスタン投資セミナー」を開催しました。
冒頭の挨拶で、Jalolov Mirzosharif 駐日タジキスタン大使は、同国において様々な経済改革が進められていること、2030年までの国家開発戦略で工業化の加速が重要な目標の一つとなっており、国内で入手可能な原料を利用した軽工業、食品、冶金、機械、化学、建設資材、製薬分野のほか、特に収益性の高い水力発電、通信、運輸、農業、建設、観光インフラなどの分野でのプロジェクトの実施に注力していると述べました。また、国内に5カ所の自由経済区を設置し、投資家にビジネスがしやすい環境を提供していると紹介し、日本との経済関係が今後ますます強化されることに期待を寄せました。
国際協力機構(JICA)タジキスタン事務所の高坂宗夫所長は、タジキスタンにおけるJICAの取り組みについて講演を行いました。経済・産業開発基盤の整備、基礎的社会サービスの向上、安定化促進をJICAの対タジキスタン開発協力方針の重点分野と定め、運輸物流網の整備、エネルギー供給の安定化、ビジネス環境整備、水供給の改善、保健システムの強化、国境管理・治安対策、ガバナンス向上といった課題の解決に向けた協力を行っていると述べ、実際の技術協力や無償資金協力の具体例を紹介しました。
日本・タジキスタンの合弁企業第一号である AVALIN社は、同社の事業について講演を行いました。AVALIN社は、首都ドゥシャンベの南100キロほどの場所に2,000ヘクタールの土地を所有、甘草を栽培し、その根を加工して年140トンほどのCGAと呼ばれる抽出物(医薬品、食品、化粧品などに使われる)の生産を行っていること、約70名の正規スタッフと500名の季節労働者を雇用し、2011年の操業開始から2020年末までの10年間に累計968トンのCGAを製造したことを紹介しました。CGAの日本への輸出については、イランのバンダル・アッバス港やトルコのメルシン港を利用するルートに加え、タシケントから鉄道でナホトカに輸送し、ボストチヌイ港から海上輸送するルートが利用できると付け加えました。
タジキスタン共和国投資・国有資産管理国会委員会の Merali Bodurshozoda 投資促進局次長は、2022年~2026年が産業開発年と定められ、現在国内で様々な税制改革や許認可の簡素化などが行われており、投資家にとって魅力的な環境が整いつつあると述べました。また、同委員会には外国からの資本を得て、国内での中小企業の設立を促進するというタスクが課されており、タジキスタンの投資環境を広く知ってもらうためのプロモーション活動に力を入れていると述べました。
質疑応答では、タジキスタンの主力産業である水力発電のポテンシャル、昨今の国際情勢によるインフレ、国内の治安状況、隣国アフガニスタンとの関係などについての質問が取り上げられました。
概 要
日 時: 2022年8月31日(水) 15:00-16:00(日本時間)
実施方法: オンライン開催
主 催: UNIDO東京事務所、タジキスタン共和国投資・国有資産管理国家委員会
駐日タジキスタン大使館
言 語: 日本語・ロシア語(同時通訳付き)
参加費: 無料
*セミナー講演資料は、下記プログラムの講演タイトルからご覧いただけます。
プログラム
挨拶
駐日タジキスタン共和国大使館 Jalolov Mirzosharif 特命全権大使
講演「タジキスタンにおけるJICAの取り組み」
国際協力機構(JICA)タジキスタン事務所 高坂 宗夫 所長
講演「日本企業との合弁事業について – 甘草の栽培・加工」
AVALIN 社 Nadzhib Khamraev 副代表
挨拶
タジキスタン共和国投資・国有資産管理国家委員会 投資・外国援助局 Abdugaffor Jamolov 局長
講演「タジキスタン共和国の投資機会」
タジキスタン共和国投資・国有資産管理国家委員会 投資促進局 Merali Bodurshozoda 次長
ビデオ「タジキスタンの観光産業」
タジキスタン共和国投資・国有資産管理国家委員会 投資促進局
Boboev Iqbol チーフスペシャリスト
質疑応答
閉会