UNIDO東京事務所は2023年9月13日、日欧産業協力センターの協力のもと、サステナブル技術普及プラットフォーム(STePP)に技術を登録する日本企業を招き、ハイブリッド形式の「STePPフォーラム:STePP技術間の連携」を開催しました。
2015年に環境技術データベース(ETDB)として始まったこのプラットフォームは、2019年4月よりサステナブル技術普及プラットフォーム(STePP)と名前を改め、対象技術を拡大し、2023年9月時点で環境、アグリビジネス、エネルギー、保健衛生、災害対策の5つのカテゴリーを対象とした122社から142の技術が登録されています。
この度のイベントは、STePPに登録されている技術間での連携の可能性を検討し、議論をする初の試みです。ハイブリッド形式で開催されたこのイベントでは、STePPに技術登録している民間企業や関連公的機関などから、44名が参加しました。
フォーラム冒頭、UNIDO東京事務所の足立文緒所長が、同事務所の運営するSTePPの技術登録数が年々増え、コロナ禍にはそれらの技術を活用してアジア・アフリカ12カ国で感染症対策プロジェクト(STePP技術実証プロジェクト)を実施したことを報告。その上で、「複数の技術を組み合わせて途上国に提案することによって、途上国が導入しやすく、また課題解決によりインパクトを持たせられるのではないか」と述べ、今後企業間の技術連携を促進させたい考えを強調しました。
続いて、下記のSTePP登録企業5社が登壇して、STePPに登録された技術の途上国への移転の事例を発表しました。
- 有限会社角野製作所:STePPを通した海外からの受注について
- 中和機工株式会社:アフリカ廃棄物処理の課題について
- 株式会社トロムソ:農村での脱炭素ビジネスと異業種連携について
- 株式会社西村機械製作所:農村やアグリビジネスに関連する事例について
- 日之出産業株式会社:アフリカからの外国人留学生受け入れの効果について
また日欧産業協力センターの坪内千秋氏は「アフリカにおけるEU企業とのパートナーシップ」をテーマに、ドローンとA Iを活用したマラリア対策のビジネスや、ケニアでの飲料水共有ビジネスなどのEU企業と日本企業の連携事例を紹介。加えて、インフラやエネルギー&グリーンへの移行、デジタルトランスフォーメーション(DX)、官民連携など様々な分野で連携の可能性があると参加者に呼びかけました。
その後、UNIDO本部アグリビジネス部の水野真鈴プロジェクトマネジャーや日欧産業協力センターのムーラ・ファブリツィオ氏がパネルセッションに参加。プレゼンテーションで発表した5社や参加者らと活発に意見を交わし、米作地域や廃棄物処理の分野におけるSTePP技術の連携の可能性を探りました。最後にUNIDO東京事務所より、この日登壇した中和機工、トロムソ、日之出産業の3社に対し、新型コロナウイルス対策のSTePP技術実証プロジェクトに貢献したことへの感謝状が送られ、セミナーを閉会しました。